犬のごはんは1日1回でもいい?24,000頭の最新研究をやさしく解説
「犬のごはんは1日2回」が定番ですが、1日1回の方が病気が少ないかもしれない──そんな結果を示す大規模調査が発表されました。
この記事では、アメリカの研究プロジェクト Dog Aging Project(ドッグ・エイジング・プロジェクト) がまとめたデータを、 できるだけわかりやすく、そして安全寄りに 解説します。
「うちの子のごはん回数、このままでいいのかな?」と迷ったときのヒントにしてもらえたらうれしいです。
1. 24,000頭以上の成犬データを使った大規模健康調査
Dog Aging Project は、アメリカで進められている「犬の老化と健康」に関する大規模プロジェクトです。 飼い主さんに詳しいオンラインアンケートに答えてもらい、その内容と獣医師の診断データを組み合わせて解析しています。
今回の調査のざっくり概要
- 対象:アメリカに暮らす成犬 24,238頭
- 方法:飼い主によるオンラインアンケート+獣医の診断情報
- 解析した項目:9種類の健康カテゴリー と、認知機能(ボケやすさ)のスコア
- 給餌回数:1日2回の子がもっとも多く、いわゆる「食べ放題スタイル」の子も多数。1日1回ごはんの子は全体の約8%でした。
※今回の解析は「ある時点でのアンケートと診断」をもとにした横断研究です。
「1日1回にしたから健康になった」と、原因・結果を断定できる段階ではありません。
| 比べた項目 | 1日1回ごはんの犬で多かったこと |
|---|---|
| 認知機能の衰え(ボケやすさ) | スコアが低く、衰えが少ない傾向 |
| お腹の不調(胃腸トラブル) | 診断されている割合が少ない |
| 歯・口の病気 | 歯周病などのトラブルが少ない傾向 |
| 関節や腰の痛み(整形外科系) | 関節・腰の病気が少ない傾向 |
| 腎臓・膀胱・肝臓・膵臓など内臓の病気 | これらの病気と診断されている割合が低い |
※心臓病やがんなど、すべての病気で差が出たわけではありません。
※あくまでも「1日1回の子に、こうした病気が少ない傾向が見られた」というレベルの話です。
2. なぜ1日1回が良さそうに見えるのか?考えられている理由
研究チームは、「どうして1日1回の子で、いくつかの病気が少なかったのか」について、いくつかの仮説を挙げています。 まだはっきり証明されたわけではありませんが、代表的なものを2つ紹介します。
-
① 胃腸を休ませる時間が長い
1日1回だと、次のごはんまで空腹の時間(絶食時間)が長くなります。
これは、人やマウスで研究されている「時間制限食」「インターミット・ファスティング」と少し似ていて、 体の修復や細胞のメンテナンスが進みやすいのではないか、と考えられています。 -
② 食べ過ぎを防ぎやすい
1日2回や、1日中お皿にフードを出しっぱなしにするスタイルより、 総摂取カロリーが抑えられやすい可能性があります。
肥満は関節や心臓、糖尿病など多くの病気のリスクになるので、
「太りにくい=いろいろな病気になりにくい」につながっているかもしれません。
いずれもまだ仮説であり、「1日1回が絶対に正解」と言い切れる段階ではありません。

3. 1日1回に“向きにくい”と考えられる主なケース
ここがいちばん大事なポイントです。
研究結果が話題になっていても、すべての犬に1日1回が向くわけではありません。
次のような子は、基本的に1日2回以上が安心です
- 成長期の子犬(生後~1歳前後)
- 消化力が落ちてきたシニア犬
- とても小さなサイズ(超小型犬)や、痩せやすい体質の子
- 糖尿病・膵炎・腎臓病など持病がある犬
- 胃捻転のリスクが高いとされる大型・深胸の犬種
- スポーツドッグ・作業犬など、運動量がとても多い犬
- お薬を1日数回、フードと一緒に飲んでいる犬
また、空腹時間が長くなることで、
- 胆汁を吐きやすくなる(朝方の黄色い嘔吐など)
- 拾い食いが悪化する
- イライラして落ち着かなくなる
といった様子が見られる子もいます。
「1日1回にしたら、なんだか前より調子が悪そう…」と感じたら、すぐに元の回数に戻すのが安心です。
4. 食事回数を変えるときの安全ステップ
「うちの子は成犬だし、体調も安定している。1日1回にチャレンジしてみようかな?」と思ったら、
下のステップを必ず守って進めてください。
-
まずは、かかりつけの獣医師に相談
年齢、体格、持病、今のフードの種類・量を伝え、「1日1回でも大丈夫そうか」を確認します。 -
いきなり1回にしない
2回 → 1.5回(朝少なめ・夜多め など) → 1回…と、
7〜10日以上かけて段階的に変えるのがおすすめです。 -
フードの“1日トータル量”は勝手に減らさない
太り気味でない限り、「今あげている1日の量」をベースに、
それを1回にまとめるイメージです(量の調整も獣医師と相談を)。 -
体調チェックをメモする
体重、うんちの状態、食欲、元気、水を飲む量を、
1〜2週間は毎日ざっくりでいいので記録しておくと安心です。
少しでも「合わないかも」と感じたら、無理せず回数を戻すことを最優先にしてくださいね。
5. 回数よりも大事な「3つのポイント」
ここまで1日1回の話をしてきましたが、研究チーム自身も「食事回数だけがすべてではない」と強調しています。
① フードの質とバランス
どんな回数であっても、その子の年齢・体格・持病に合ったフード選びが一番の土台です。
たんぱく質・脂質・ミネラルバランスが崩れていれば、回数を変えても根本解決にはなりません。
② カロリーと体型(ボディコンディション)
1日1回でも2回でも、適正体型(くびれがあり、肋骨が軽く触れる程度)をキープできているかどうかが重要です。
太りすぎ・痩せすぎどちらも、病気のリスクにつながります。
③ 運動と心の刺激
別の Dog Aging Project の研究では、よく体を動かしている犬ほど、認知機能の衰えが少ない傾向も報告されています。
お散歩や遊び、におい嗅ぎ、トレーニングなど、毎日の「楽しい刺激」も、食事と同じくらい大切な健康要素です。

6. まとめ:1日1回ごはんは「選択肢のひとつ」
- 24,000頭以上の成犬を対象にした解析で、1日1回ごはんの犬はいくつかの病気が少ない傾向があると報告された。
- ただし、これは関連が見つかった段階で、「1日1回にすれば必ず健康になる」という話ではない。
- 子犬・シニア犬・持病がある子など、1日1回に向かないケースも多い。
- 回数を変えるときは、必ずかかりつけの獣医師と相談し、ゆっくり様子を見ながら進めること。
- 食事回数よりも、「フードの質」「適正体型」「毎日の運動・遊び」が健康づくりの土台になる。
愛犬にとっていちばん良い食事スタイルは、犬ごとに違います。
研究結果はあくまで「ヒント」として受け取りつつ、
わんちゃんの性格や体質、暮らし方に合った方法を、飼い主さんと獣医さんのチームで決めていけると安心ですね。